8月, 2019年
映画「アートのお値段」を観ました
渋谷のユーロスペースで上映されている映画「アートのお値段」を観ました。
現代アートが異常なほど高騰した始まりは、1990年代でした。
1990年代に近代の巨匠といわれるアーティストの傑作の出品が減ったのです。
美術品市場は、縮小する傾向が見えました。
一方1990年代は、ベルリンの壁の崩壊、東西冷戦の終結、若い超富裕層の出現など、
新しいものを求める機運が高まりました。
そこで目を付けたのが、現代アートでした。
現代アートは、アーティストの数も多く、現在制作されているので、枯渇の恐れがありません。
つまり、無限に供給できるのです。
それを主流にしたわけです。
その結果、現代アートの値段はべらぼうに膨れ上がっていきます。
完全に超富裕層の投機対象となりました。
儲けているのは、一部のコレクター、画商、アーティストだけという、
典型的な資本主義やアメリカ社会の矛盾を極端に表す結果になっています。
この映画もヨーロッパ流の非常にエスプリの効いた内容になっています。
現代アートの詳細やデータなどに興味のある人は、雑誌「Pen」の2019年2月15日号の特集
「アートの値段。」を読むと一通り理解できます。
演劇「人形の家パート2」を観てきました
昨日、演劇「人形の家パート2」を観てきました。
この舞台は、イプセンの傑作「人形の家」の続編として書かれた作品です。
アメリカの劇作家であるルーカス・ナスの作品で、2017年度のトニー賞にもノミネートされました。
イプセンの「人形の家」は、140年前の1879年コペンハーゲンで出版され、世界的に有名になりました。
愛と結婚についての物語で、後半の衝撃的な展開が、当時衝撃を与えたことで知られています。
一般に女性の自立の作品と捉えられていますが、当のイプセンは、晩年、女性解放のために作ったわけではなく、
あくまでも人間の問題を描きたかったと語っています。
「人形の家パート2」は、主人公ノラが家族を捨てて、家を出てから15年後の話です。
ノラの主張は、まさに現代の人間の本質的な問題を提起しています。
「考えてみて。結婚は残酷で、女の人生をぶち壊しにするのよ」
「今から20年か30年経てば、人は、一生にたくさんの相手を持つ、一度に何人も持つかもしれない、
夫婦と夫婦の間に引かれる線はなくなり、嫉妬もなくなる。だって、嫉妬する理由がないんだもの」
「今から20年か30年経っても世界は、私が言うような場所にはならないでしょう。私が、そうなるようにしなければ」
「ほとんど2年かかった、2年間の沈黙。自分の声が聞こえるようになると、自分が何が欲しいか考えられるようになった。
他の人が欲しいものとは全然関係ないもの」
9月1日まで東京で上演され、その後は、全国で上演されます。
本好きや読むのが得意な人は、演劇雑誌「悲劇喜劇」(早川書房)の9月号にのっている脚本を読むといいと思います。
「ビジネスの限界はアートで超えろ」増村岳史著
本日は、日本橋の早稲田大学大学院で、アートとビジネスの関係性を探るセミナーに参加しました。
ビジネスパーソン向けにアートの研修をやっている増村さんとコンサルタントでオペラ歌手の秋田さんの二人が登壇されました。
一番感銘を受けた話が、新規事業は、大企業でも成功率5%程度という秋田さんの話です。
そこで大切になってくることが2つあります。
1 撤退戦略
どのような基準で撤退するのかを最初に決めるそうです。
失敗する新規事業の多くは、撤退基準を作っていないからだと言います。
2 リスク分散
投資家に出してもらったり、顧客に出してもらって、自らが出す分を減らします。
この話は新規事業をやる人には、参考になりますね。
ビジネスとアートの関係に興味のある人は、
増村さんの著書「ビジネスの限界はアートで超えろ」を読んでみるといいと思います。
元レタスクラブ編集長の松田紀子さんのセミナーを受講しました
元レタスクラブ編集長の松田紀子さんのセミナーを受講しました。
松田紀子さんは、出版不況と言われる時代に、レタスクラブの部数を大幅に増やした業界では有名な方です。
何をやったかというとレタスクラブのコミュニティを作りました。
読者に答えがあるというよりむしろ読者にしか答えはないと考え、読者との関係性作りを徹底的に作り上げる活動をしました。
佐藤尚之さんの「ファンベース ──支持され、愛され、長く売れ続けるために」(ちくま新書)が松田さんのコミュニティ作りの理論になります。
この本には、レタスクラブの事例も載っています。
「ファンベース ──支持され、愛され、長く売れ続けるために」の中でも紹介されていますが、
「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ 」(日経BP)はコミュニティ作りの古典です。
新海誠監督の映画「天気の子」を観ました
新海誠監督の映画「天気の子」を観ました。
新海誠監督があるインタビューで
「老若男女が足を運ぶ夏休み映画にふさわしい品位を的なことは 、
もう一切考えなかった」と言っているように、暴力あり、家出あり、拳銃あり、逃走ありの大人社会への反逆映画でもあります。
この映画の中で、主人公の16歳の少年帆高が読んでいる本として、
作家JDサリンジャー の「キャッチャーインザライ」が何度か出てきます。
この映画は、作家JDサリンジャー の「キャッチャーインザライ」へのオマージュ作品でもあります。
今年2019年はJDサリンジャー の生誕100周年とも少し関係あるかもしれません。
とにかくさりげなく、サリンジャー の「キャッチャーインザライ」の影響があることを巧みに、示唆しています。
「天気の子」を観てよかったと思った人は、サリンジャー の
「キャッチャーインザライ」を読んでみるとより理解できると思います。